X線透視や超音波（エコー）のデジタル画像で治療をリアルタイムに可視化することにより、正確で安全な治療を心がけています。
当院で画像を用い施行される治療法の一部をご紹介いたします。
X線透視下神経治療
神経を直接写し出し、確実かつ安全に薬を注入します。
関節の診断・治療等にも用います。
第4・第5腰椎間の腰椎椎間板ヘルニアによる左坐骨神経領域の痛み・シビレに対して、左第5腰神経の根部を造影ブロックしたところ
第4・第5腰椎間の椎間板ヘルニア縦断面
横断面
左第5腰神経根ブロックのイメージ
透視下左第5腰神経根造影ブロック
超音波（エコー）ガイド下神経治療
X線透視下神経ブロックと同様に、神経や関節のほか筋肉、腱、血管等を直接見ながら診断・治療することができます。
第5・第6頚椎の間にある左第6頚神経の出口（椎間孔）の骨の変形（骨棘）により、左第6頚神経の根部が圧迫され、腕〜手の痛み・シビレに対して、第6頚神経の根部断面をエコーで確認しブロック針を誘導、同神経を造影確認しながらブロックしたところ
頚椎症性神経根症：左第5・第6頚椎椎間孔が狭く第6頚神経根部を圧迫
左第6頚神経根ブロックのイメージ
超音波ガイド下第6頚神経根ブロック
同神経根ブロックの造影所見
高周波熱凝固ブロック、パルス高周波療法
特殊なブロック針に挿入した電極に高周波電流を流し、絶縁されていない先端周囲数ミリの範囲だけに組織の分子振動を引きおこし熱を発生させ、神経をピンポイントにかつ長期的に治療します。また運動まひが問題になる神経や治療によるしびれを極力抑えたい神経に対しては、42℃の低温で神経組織の変性を抑えたパルス高周波療法もあります。三叉神経痛、脊椎の圧迫骨折や椎間関節症、仙腸関節症、神経ブロックが効果あるが短期間しか効かない痛みなどに利用されます。
顔面の三叉神経痛に対して、頭蓋底にある卵円孔にブロック針を挿入し、三叉神経節（ガッセル神経節）を高周波熱凝固ブロックしたところ
高周波熱凝固装置
熱を発生する電極針を先端が絶縁されていないブロック針に挿入
頭蓋底卵円孔の奥にある三叉神経節にブロック針を誘導したイメージ
透視下に施行された三叉神経節（ガッセル）高周波熱凝固ブロック
硬膜外神経形成術（硬膜外癒着剥離神経形成術、Raczカテーテル）
Raczカテーテル（Raczスプリングガイドカテーテル）という特殊なカテーテルと、数種類の薬液を用いて、硬膜外神経剥離と神経癒着溶解（神経と周辺組織がくっついているのを剥がす）を行いながら、障害を受けた神経根部を治療する手技です。
脊椎手術後に残った神経症状（FBSS）、脊椎管狭窄症、椎間板ヘルニア、黄色靭帯肥厚や肥厚した椎間関節、その他の原因による神経根部の障害による痛みの中で、薬物、リハビリ、神経ブロックなどの保存的治療に反応が悪く、かつ手術治療の適応がない場合、または手術治療を望まれない場合が適応になります。
脊柱管狭窄症手術の後、第1仙骨神経領域の痛みを残し、硬膜外造影にてゆ着により造影されなかった右第1仙骨神経の根部に、ゆ着はんこん組織の拡散剤であるヒアルロニダーゼを注入し、同神経根を造影させたところ
カテーテル先端はスプリング状で丸く、硬膜や神経を傷つけない特殊な構造
手術後の硬膜外の広い範囲にわたるゆ着により、腰部脊柱管と第5腰神経根、第1仙骨神経根が造影されない
カテーテルを特殊な針から硬膜外に挿入、その先端を病変部の神経根に誘導したイメージ
神経障害の強い右第1仙骨神経根部が、周囲のゆ着からはがれ出し造影される
